今は観光にいけないシリアの世界遺産・名所ランキング
シリアには古代都市ダマスクスなど6件の世界遺産があるが、昨今のシリアをめぐる情勢から、6件すべてが危機遺産に登録された。また、外務省がシリア全土に退避勧告を出しているため、渡航は不可能となっている。
1位:古代都市ダマスカスとウマイヤド・モスク
ダマスカスはシリアの首都だが、こちらはその中でも旧市街に当たる地区だ。1世紀ごろに建設されたとされる城塞には7つの門がある。東西に伸びた「真っ直ぐな道」は新約聖書にも出てくる歴史的な景観だ。
ダマスカスの中心部にあるウマイヤド・モスクは、ウマイヤ朝の6代カリフ、ワリード1世によって建築された、実際に存在するものの中では世界最古と言われるモスクだ。
モスクの規模としても最大クラスであり、世界遺産に登録されている「古代都市ダマスカス」を代表する建築物として知られている。
2位:クラック・デ・シュヴァリエとカルアト・サラーフ・アッディーン
どちらも十字軍時代に築かれた城で、クラック・デ・シュヴァリエは聖ヨハネ騎士団の拠点となっていた。
どちらも堅固な要塞といった建物で、とくにカルアト・サラーフ・アッディーンは深さ28mの堀がうがたれている。2006年に「クラック・デ・シュヴァリエとカラット・サラーフ・アッディーン」として共に世界遺産として登録されている。
3位:パルミラの遺跡
パルミラの遺跡は、ローマ帝国が支配していた時代の都市遺跡だ。1980年に世界遺産に登録された。
ローマ式の円形劇場やディオクレティアヌスの浴場、列柱道路からの四面門などがある。中でもベル神殿が有名だったのだが、現在は破壊されてしまったとの情報がある。
他の観光名所は?
上記のランキング1〜3位のほかに、世界遺産を3つご紹介する。
古代都市アレッポはシリア第2の大都市であり、商業都市として知られている。紀元前10世紀の神殿を原型とするアレッポ城やウマイヤド・モスクがある。また、スークと呼ばれる世界最大規模の市場があったが、内戦による火災で大半が焼失した。
古代都市ボスラは1980年に世界遺産に登録されたシリア南部にある町で、ビサンティン様式の建築物が特徴だ。城塞とローマ劇場、大聖堂跡などがある。
シリア北部の古村落群では、住居などの建築物や景観が良好な状態で残されている。とくに寺院、教会などは、この地にキリスト教が入り、文化が変わっていくまでの過程を垣間見ることができる。
カシオン山は世界遺産ではないが、シリアの首都ダマスカスの市街を見下ろす山で、斜面にはさまざまな伝説に彩られた洞窟がある。中でも血の洞窟は、カインがアベルを殺した場所と伝えられ、世界最初の殺人があった場所とされている。